The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「…」

「…」

「…何ですか?」

俺、今呼ばれたよね?

「ルレイア。どうしたら良いと思う?どうしましょうか」

「俺に聞くんですか?」

「あなたに聞くのよ。帝国騎士団のことを一番分かってるのはあなたなんだもの。彼らの申し出を受けるか、受けないかはあなたの判断に委ねるわ」

…そう来たか。

そんな重い決断を俺に委ねるとは…。彼女なりの考えあってのことなんだろうけど。

どうしたものかなぁ。

俺はチークをはたいてから、コスメポーチをしまった。

メイク完了。そろそろ俺も話に混じるか。

「まず、俺『シュレディンガーの猫』が何をしたか知らないんですよねぇ。別件で忙しいので」

「これ、うちの傘下受けた被害」

アイズが、素早く『シュレディンガーの猫』によって受けた被害をまとめた一覧表を差し出した。

まさか自分に判断の全権が委ねられると思っていなかったので、その辺全然知らなかったのだ。

アイズから一覧表を受け取り、ざっと目を通す。

…ふむ。

「この他には?」

その質問に答えてくれたのは、六番隊のリーヴァだった。

「裏社会に関係のない商業施設や帝立施設も被害を受けている。詳しくは、そこの資料にあるが…」

「ふーん…」

手元に置かれていた資料をぱらぱらと捲る。これ、リーヴァがまとめたのか?

成程。これを見ると確かに、帝国騎士団が重い腰を上げた理由が如実に分かる。

人の家に土足で上がり込んで、あちこち踏み荒らしていくならず者の猫。

そろそろ何とかしないといけないというのも頷ける。

「どうする?」

「お断りします」

オルタンスの問いに、俺はきっぱりとそう答えた。

「…理由のほどは?」

「猿の集団に、協力しろと頼まれて承諾する人間がいますか?寝言は寝て言え屑共、って言った方が分かりますかね」

「…そうか」

ここまで侮辱されているのに、オルタンスは涼しい顔。

すると。

「ルレイア。気持ちは分かるが…。だが、『シュレディンガーの猫』を野放しにしておく訳には」

この場で唯一、対等に俺に意見することが出来るルルシーが声をあげた。

帝国騎士団からしても俺達に協力を求めるのは苦肉の策なのだ。

そうでもしないと、奴らを倒せないから。

そしてそれは、俺達としても同じことだ。

『青薔薇連合会』だけで奴らを叩くのは、あまりにもリスキーだ

そんなこと、俺にだって分かっている。
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