The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
ちなみに、会談の後。『青薔薇連合会』のメンバーを見送った帝国騎士団の面々は。

会談の顛末が気に入らないらしく、憮然としているアストラエアや、ルーシッドの後ろ姿を、オルタンスは無言で眺めていた。

それに気づいたアドルファスが、オルタンスに声をかけた。

「おい、変な気を起こすなよ。あいつらの気持ちも分からんではないが、『青薔薇連合会』の助けを借りなきゃ『シュレディンガーの猫』は…」

「あぁ、それは分かってる」

オルタンスの頭にあるのは、そのことではなかったようだ。

「…じゃあ何考えてんだ?」

「いや…化粧って」

「は!?」

オルタンスが考えていたのは、さっきの会合での俺のことだった。

「するとしないとじゃ、あんなに変わるものなんだな…」

「…」

これには、アドルファスも絶句であった。

この男、何も考えてない。そう思っていたに違いない。

「化粧をすると随分色気が増していたな。俺がやったらどうなるだろう」

「…やめとけば?気色悪いし…」

「そうか。じゃあやめておこう」

この話はおしまい、とばかりに歩き去るオルタンスを、アドルファスは呆然として見つめていた。
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