The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
と言っても、俺は今日から試験だということを忘れていた。

学校に来ると、皆が何故かノートや教科書を熱心な顔で睨んでいて、今日何かあったかな?と考え。

「ルナニア~!歴史分から~ん!」

朝イチなのにアホのアシベルが俺に泣きついてくるのを見て、ようやく思い出した。

そうだ。今日から試験なんだ。

俺の頭の中には、『シュレディンガーの猫』とルルシーとの結婚しかなかった。

俺の出鼻をよくも挫いてくれたな。

学校に来て初めて思い出した。

「俺もヤバいですよ~。歴史もヤバいけどアシスファルト語も相当ヤバいです~」

仕方なく、ルナニアらしくアホの振りをしておく。

実はさっきまで試験だってことさえ忘れてましたとは言えない。

「補習引っ掛かったら一緒に行こうな、ルナニア!頼りにしてる!」

「俺もですよアシベル!死なば諸共って言いますしね!」

仲良く手を取り合う、振りをする。

甥っ子のこの情けない姿を、アストラエアに見せてやりたい。

生憎だが俺は、補習に引っ掛かる訳にはいかない。

持久走で一緒に走ろうねと約束しながら、ゴール付近で抜け駆けするタイプだから。俺。

盛大に抜け駆けさせてもらおう。

「お前ら…。ったく情けないなぁ」

俺とアシベルのやり取りを聞きながら、エルスキーは呆れたように言った。

確かに情けないが、本当に情けないのはアシベルだけだからな。

そんなことより俺は、さっさとスパイ探しに取り組みたいのだ。

「アシベル。お前、週末あんなに教えてもらったんだから。赤点だったらミューリアに殴られるぞ」

「それを言わないでぇ…」

そういや俺が会合に行っている間に、こいつらは仲良く勉強会してたんだっけ。

そりゃお疲れ様。精々頑張ってくれ。
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