The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
言うまでもないことだが。

俺は、ノー勉であった。

試験の存在そのものさえ忘れていたくらいだ。

そうだというのに。

「…」

…この、試験の簡単なこと。

小学生のテストか何かか?

ノー勉なのに、真面目に解いたら間違いなく満点を取れる自信がある。

勿論、真面目には解かない。それはルナニアのキャラではない。

だが補習に引っ掛かる訳にはいかないので、赤点ラインはクリアしておく。

ったく。わざと間違えるのも大変なんだぞ。

こんな試験で赤点に怯えるアシベルのアホなことアホなこと。

アストラエアに申し訳ないと思わないのかな。

あいつもあいつで気苦労絶えないなぁ。帝国騎士団ではあんなだし、甥っ子はどうしようもないアホだし。

まぁ同情はしないけど。

それより考えるべきなのは、ランドエルスに忍び込んでいるという『シュレディンガーの猫』のスパイについて。

こんな試験どうでも良いのだ。スパイとやらの尻尾を掴めれば。

スパイを見つけさえすれば、アイズの仕事は随分楽になる。帝国騎士団にもいくらでも威張り散らしてやれるのに。

だが、実際それは難しかった。顔も名前も分からないし、性別すら分からない。

おまけにランドエルス騎士官学校はマンモス校で、生徒数も尋常じゃない。廊下ですれ違うなんてことも滅多にないだろう。

相手が同業者なら、顔を見れば大体分かると思うのだが…。そもそも会えないのなら探しようもない。

これを一体どうしたものか。

何とか対策を考えなくては…。

試験の最中にこんなことを考えているのは、俺くらいだろう。



ちなみに、その後の数学やアシスファルト語の試験も全部余裕だったので、適当に赤点ラインをクリアして、あとはずっと考え事をしていた。




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