The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「終わったぁぁ~!」

最後の試験が終わるなり、アシベルは両手両足を一杯に伸ばして叫んだ。

なっさけない姿だこと。

「やっと終わった~。もう試験見たくない~」

「今回の試験難しかったな。俺もひやひやしたよ」

え。あの試験が難しいって。エルスキー、お前の頭、ちゃんと脳みそ入ってる?

半分くらいスポンジなんじゃない?

とは思いつつも、態度には出さない。

「それにしても、試験のことで頭一杯になってたけど…。もうすぐクラス替えだよな」

「だな」

…クラス替え?

これまた、アシベルに言われて初めて思い出した。

そういえば今回の試験が終わったら、新学期なんだ。

学年が一つ上がり、クラス替えも行われる。

帝国騎士官学校ではクラス替えなんてなかったから、忘れてた。

「またエルスキーとルナニアと一緒が良いなぁ…」

「だよなー」

「ですねー」

言いながら、二度とお前らと同じクラスなんて御免だ、なんて思っているのだから人間の業は深い。

特にミューリアとは絶対に離れたい。あいつ嫌いだし。

でも、クラス替えって確か、生徒達の交遊関係も考慮して行われるそうだから…。友達同士はあまり引き離されずに、そのまま同じクラスであることが多いらしい。

そういう気遣い、今は要らないから。

遠慮なく知らない人の中にぶちこんでくれ。

「さて、試験も終わったことだし…。明日からは一週間休みだ。どっか遊びに行こうぜ」

余談だが、ランドエルスでは新学期までの準備期間として、一週間の長期休暇を挟んでから新学期を迎える。

だから、こうして遊びに誘ってきている訳だ。

「良いね!賛成!ルナニアは何処に行きたい?」

強いて言うなら何処にも行きたくない。

でもそう言う訳にもいかないので。

「何処でも良いですよ~。何処行きます?」

「映画とかどう?今アクション映画の面白いのやってるらしいよ」

「映画!行きたい!」

何が楽しくて、野郎三人と仲良く映画を観に行かなければならないのか。

涙がちょちょぎれそうである。

願わくば、新学期からはこいつらとクラスが離れますように…。




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