The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「…俺が何て言っても、お前は行くんだろう」

「そうですね」

「分かってる。でも…一人だけ危険な目には、遭わせないからな」

約束したからな。以前、俺がアイズを助ける為に単身アシスファルト帝国に乗り込んだとき。

危険な橋を渡るときは、手を繋いで一緒に渡ろうと。

一緒に渡りきれるならそれで良し。落ちるときは…一緒に落ちよう。

それが俺達の、絆というものだ。

「言っとくがな…アシュトーリアさんと、それからシュノはめちゃくちゃ反対するぞ。俺以上に」

「でしょうね」

「説得は手伝ってやらんからな。一人で頑張れ」

「えー」

地獄の果てまで一緒じゃなかったんですか。それはそれ、ってことですか。

「あと、お前。一人で勝手に無茶して、もしお前だけ死ぬようなことがあったら…」

「絶交ですか?」

絶交は嫌なんだけど?

しかし、ルルシーが口にしたのは、絶交よりもっと嫌なことだった。

「いいや。他の女と結婚する」

「ルルシーそれはおかしい。それは酷いですよ」

いくらなんでもそれは。

「お前が何と言ってもする。ルレイアほどではないがな、俺だってこう見えて、言い寄ってくる女はたまにいるんだ。お前が悉く闇に葬ってるだけで」

え。何でそのことがルルシーにばれてる?

上手く隠したつもりだったんだけど?

「そのうちの一人と結婚する。良いな?お前はあの世で指咥えて、俺がその人とハネムーンに行くのを見てれば良い」

「ルルシー。俺…たった今、絶対死なない呪いにかかりました」

「よし」

ルルシーがよその女と結婚して、しかも仲良く新婚旅行なんて行ってるのを見たら。

俺は確実に精神崩壊を来す。

そうならない為に、絶対に生きて帰らねば。
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