年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第4話 たった一つ、気になること
「シェリル様。おはようございます~!」
「朝ですよ」

 お父様からのお手紙が届いた翌日。珍しく朝寝坊をしてしまった私を、クレアとマリンが優しく起こしてくれる。……昨日は、いろいろと考え込んでしまって、よく眠れなかった。そう思いながら、私はカーテンを開けるマリンを見つめる。

 私は元々客間に滞在していたのだけれど、今はこのリスター家のお屋敷の女主人のために用意されたお部屋を、使わせてもらっている。もちろん、まだ婚姻前なので寝室は別なのだけれど。

「シェリル様、珍しいですね。お寝坊なんて」
「……昨日の夜、いろいろと考えちゃって」

 クレアのその言葉に、私はそう返して持ってきてもらったぬるま湯で顔を洗う。そんな私の回答を聞いたマリンは「……実父のこと、ですか?」と問いかけてきた。あの場にマリンはいなかった。でも、どうやらクレアからお話を聞いたらしい。……だけど、私が考えていたのはお父様のことじゃない。出来れば隠しておきたいけれど、今誤魔化すと逆効果になりそうよね。……言った方が、いいわ。

「違うわ。エリカのことよ」

 私はタオルで顔を拭きながら、クレアとマリンにそう答える。そうすれば、二人は「……エリカって、シェリル様の異母妹のことですよね?」と尋ねてきた。そのため、私は静かに頷く。

「……エリカのことが、心配だったの」

 ただ目を伏せてそう言って、私はクレアに寝間着からワンピースに着替えさせてもらう。正直、着替えは一人で出来るのだけれど、二人は私の着替えを絶対に手伝おうとする。曰く、「これもお仕事の一つ」ということで。そのため、私は最近ではその言葉に素直に甘えるようにしていた。
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