【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「ですが、シェリル様。異母妹は、シェリル様のことを虐げて……!」
「……確かに、そうだったわ。けど、私、今ならば思うの。……あの子も、被害者だったって」

 確かに、イライジャ様のことを奪ったのはエリカだし、お父様とお義母様の愛情を受けて育ったあの子には、虐げられてきた私の気持ちなんて分からないだろう。それでも、エリカは被害者だ。一番私を虐げてきたのはエリカだったかもしれない。でも、元はと言えばあの両親の教育が悪いのだ。

「シェリル様」
「あの両親の元で、あの子がまともに育つわけがなかったのよ。あの子も、いわばあの両親の被害者よ」

 ワンピースに着替え、そのまま鏡台の前に座れば、マリンは手早く私の髪の毛をくしで梳いていく。そんな私の言葉を聞きながら、クレアとマリンは微妙な表情を浮かべていた。それは、鏡越しに良く分かった。

「……ですが、私は」
「クレアとマリンが、エリカのことを嫌っているのは分かっているわ。だけど、私にとっては結局唯一の妹だから」

 昔から、エリカは私から何もかもを奪ってきた。だけど、その行動の根本は「私よりも優秀だと示さなければならなかった」から。そうじゃないと、魔力を奪ったりはしない。あの子は、本当は私が怖かったのではないだろうか?

「……クレアもマリンも、互いを大切な姉妹だって思っているでしょう? 私たちは少し違うかもしれないけれど……それでも、血のつながった姉妹なのは間違いないのよ」

 正直、あの両親の元に生まれなかったら。そこそこ仲良く出来ていたのではないだろうかと、思ってしまう。異母姉妹だったとしても、仲良くやっているところはある。私たちの関係がこんなにもこじれてしまったのは、あの両親が悪い。
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