年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第5話 異母妹の襲来
「……サイラスさん、どうしたの?」
そんな感情に気が付いていないふりをして、私はサイラスさんにゆっくりと問いかけてみた。すると、サイラスさんは「……シェリル様に、お客様です」といつもの表情で言ってくれる。しかし、その声音には隠しきれていない怒りの感情が籠っていて。
「こんなにも朝早くから、ですか?」
「……えぇ、クレア。まぁ、世にいう招かれざる客という奴ですけれどね」
サイラスさんはそう言って、私に視線を向けてくる。招かれざる、客。もしかして、お父様? それとも、お義母様? その二人だったら、追い返してほしい。だけど、もしも――。
「……お客様は、どなた?」
「エリカ。そう名乗れば、シェリル様ならば分かると言っておりました。若い娘ですよ」
その名前を聞いた時、私の中で胸騒ぎがした。……エリカ。あんなにも嫌いだった、異母妹の名前。なのに、今は少しも憎たらしくない。ただ、あの子も被害者だと思うことが出来たからだろうか。そう思って私が胸の前で手を握りしめていると、クレアが「シェリル様」と声をかけてくれた。
「シェリル様。追い返しましょう。そんな、図々しくもシェリル様の元を訪れるなんて……」
クレアは、私のことを気遣ってそう言ってくれる。でも、私は訪ねてきたのがエリカならば会いたかった。だから、静かに首を横に振る。その行動に、クレアはただ目を丸くしていた。
「私、会うわ。こんなに朝早くから来ているのだもの。きっと、何か急用よ」
「……で、ですが」
私の答えに対して、クレアは渋る。サイラスさんもあまりいい表情をしていない。それでもただ一人、マリンだけは「シェリル様の、仰せのままに」と言ってくれた。だから、ただマリンのことを見つめれば、彼女は静かに頷いてくれた。
そんな感情に気が付いていないふりをして、私はサイラスさんにゆっくりと問いかけてみた。すると、サイラスさんは「……シェリル様に、お客様です」といつもの表情で言ってくれる。しかし、その声音には隠しきれていない怒りの感情が籠っていて。
「こんなにも朝早くから、ですか?」
「……えぇ、クレア。まぁ、世にいう招かれざる客という奴ですけれどね」
サイラスさんはそう言って、私に視線を向けてくる。招かれざる、客。もしかして、お父様? それとも、お義母様? その二人だったら、追い返してほしい。だけど、もしも――。
「……お客様は、どなた?」
「エリカ。そう名乗れば、シェリル様ならば分かると言っておりました。若い娘ですよ」
その名前を聞いた時、私の中で胸騒ぎがした。……エリカ。あんなにも嫌いだった、異母妹の名前。なのに、今は少しも憎たらしくない。ただ、あの子も被害者だと思うことが出来たからだろうか。そう思って私が胸の前で手を握りしめていると、クレアが「シェリル様」と声をかけてくれた。
「シェリル様。追い返しましょう。そんな、図々しくもシェリル様の元を訪れるなんて……」
クレアは、私のことを気遣ってそう言ってくれる。でも、私は訪ねてきたのがエリカならば会いたかった。だから、静かに首を横に振る。その行動に、クレアはただ目を丸くしていた。
「私、会うわ。こんなに朝早くから来ているのだもの。きっと、何か急用よ」
「……で、ですが」
私の答えに対して、クレアは渋る。サイラスさんもあまりいい表情をしていない。それでもただ一人、マリンだけは「シェリル様の、仰せのままに」と言ってくれた。だから、ただマリンのことを見つめれば、彼女は静かに頷いてくれた。