年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「あの子は、外面はとてもよかったの。だから、こんな突拍子もない行動をとるわけがないわ。きっと、何か重要な用件があるのよ」
「……かしこまりました」
「サイラスさん!」

 サイラスさんが私の答えに肯定の返事をくれると、クレアはただ不満そうに声を上げていた。クレアの気遣いは、とても嬉しい。でも、私にはあの子に向き合う義務がある。あの子がもしも、今苦労をしているのならば。それ相応に、助けてあげたいという気持ちがあるのだ。上から目線、かもしれないけれど。

「エリカを応接間に通して頂戴。ギルバート様には……」
「私が、行ってまいります」
「お願い、マリン」

 私がそう指示を出せば、マリンは颯爽と歩いてギルバート様の待つ食堂に向かっていく。サイラスさんは、エリカのことを応接間に通しに玄関に向かった。残されたのは、私とクレア。クレアは私のことを見て微妙な表情を浮かべる。それはきっと、どうして私がそんな行動をするのかが分からない、と言うことなのだろう。

「……私、エリカのことを助けてあげたいの。困っているのならば、それ相応に力を貸してあげたい」
「……どうして、シェリル様はそこまで」

 私の言葉に、クレアはそう言葉を返してくる。そのため、私は静かに「仕返し、みたいなものかな」と告げた。

「見下していた異母姉に、施しを受けるのはきっとあの子にとって屈辱よ。だから、これが私の最大限の仕返しなの。その上で、あの子を助けられるのならば。私は、あの子に嫌われてもいいし、憎まれてもいい」
「……シェリル様」
「まぁ、元々エリカには嫌われているのだろうけれど」

 苦笑を浮かべながらそう言えば、クレアは「……シェリル様を、嫌うなんて」と言ってくれた。でも、エリカはきっと私のことを嫌っている。いや、違う。……恐れているのだろう。
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