年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「お父様とお母様に認められるためには、お義姉様よりも上に立たなくちゃいけなかった。だから、私はお義姉様の魔力を奪ったのよ。なのに、どうして、どうしてお義姉様は私のことを憎まないの!? どうして、そんなことが言えるの!?」
エリカは、私の胸を叩きながらそう叫ぶ。……エリカのことは、やはりつい最近まで憎たらしかった。でも、今は全然憎たらしくない。そう思えるのは、きっと――……。
「今が、幸せだからよ」
噛みしめるように、私はエリカにそう伝える。
私はここに来て初めて愛されることを知った。幸せを知った。ギルバート様がいらっしゃって、サイラスさんがいて、クレアとマリン、他の使用人たち。それから、ロザリア様。様々な人が、ここでは私のことを愛してくれる。だから、正直に言えばエリカには感謝しているのだ。……イライジャ様を、一度は奪ってくれたことを。
「私、きっとあのままイライジャ様と婚姻しても幸せにはなれなかった。だから、本当は貴女に感謝しているの。ここに追いやってくれたことを」
エリカと目線を合わせて、私はそう告げる。そうすれば、エリカは「なによ、それ……!」と零していた。その口調はいつものようなもの。しかし、何処となく勢いがなくて。まるで、もう吹っ切れたような感じだった。
「……お義姉様、バカみたいにお人好しよね。こんな異母妹のこと、助けようとするんだから」
その言葉はきっと、嫌味なのだろう。でも、今の私からすればそれは褒め言葉でしかない。そのため、私は静かに「ありがとう」と言っておいた。
「……それで、エリカはどうして急にここに来たの?」
だけど、とりあえず本題だけは訊かなくちゃ。そう思って、私はそう問いかける。王都からこの辺境の地までは、かなり遠い。そんな距離を移動してくるのだ。きっと、何か重大なことがあったに違いない。私がそう考えて問いかければ、エリカは気まずそうに視線を逸らす。その後、口を開いた。
エリカは、私の胸を叩きながらそう叫ぶ。……エリカのことは、やはりつい最近まで憎たらしかった。でも、今は全然憎たらしくない。そう思えるのは、きっと――……。
「今が、幸せだからよ」
噛みしめるように、私はエリカにそう伝える。
私はここに来て初めて愛されることを知った。幸せを知った。ギルバート様がいらっしゃって、サイラスさんがいて、クレアとマリン、他の使用人たち。それから、ロザリア様。様々な人が、ここでは私のことを愛してくれる。だから、正直に言えばエリカには感謝しているのだ。……イライジャ様を、一度は奪ってくれたことを。
「私、きっとあのままイライジャ様と婚姻しても幸せにはなれなかった。だから、本当は貴女に感謝しているの。ここに追いやってくれたことを」
エリカと目線を合わせて、私はそう告げる。そうすれば、エリカは「なによ、それ……!」と零していた。その口調はいつものようなもの。しかし、何処となく勢いがなくて。まるで、もう吹っ切れたような感じだった。
「……お義姉様、バカみたいにお人好しよね。こんな異母妹のこと、助けようとするんだから」
その言葉はきっと、嫌味なのだろう。でも、今の私からすればそれは褒め言葉でしかない。そのため、私は静かに「ありがとう」と言っておいた。
「……それで、エリカはどうして急にここに来たの?」
だけど、とりあえず本題だけは訊かなくちゃ。そう思って、私はそう問いかける。王都からこの辺境の地までは、かなり遠い。そんな距離を移動してくるのだ。きっと、何か重大なことがあったに違いない。私がそう考えて問いかければ、エリカは気まずそうに視線を逸らす。その後、口を開いた。