年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「お義姉様。しばらくでいいの、私のこと、ここに置いてくれない?」
そして、そんな言葉を告げてくる。……置いてくれない? それはつまり、ここに滞在したいということだろう。私としては、構わない。しかし、このお屋敷の持ち主はギルバート様。私が勝手に許可できることでは、ない。
「少し待って頂戴。ギルバート様に、確認を取らないと」
私はエリカの涙を指で拭いながら、そう言う。そうしていれば、タイミングよく応接間の扉が開き、ギルバート様がやってこられた。ギルバート様は私とエリカのことを見て、一瞬だけ目を見開かれる。でも、すぐに「シェリル!」と私の名前を呼んでくださる。
「シェリル。なにもされていないか? 傷つけられていないか?」
ギルバート様は私の方に駆けよってこられてそうおっしゃった。なので、私は静かに「なにも、ありませんよ」という。どちらかと言えば、泣かせてしまったのは私の方だ。私は、エリカにこれっぽっちも傷つけられていない。
「……あの、ギルバート様。一つだけ、お願いがあるのです」
そう思いながら、私はゆっくりと口を開いた。今までのエリカの態度から見るに、多分エリカは何かに怯えている。だから、頼りたくもない異母姉の元を訪れた。そう考えるのが、妥当だ。……怯えている対象は、分からないけれど。
「……どうした、シェリル?」
「エリカのことを、しばらくここに滞在させてくれませんか?」
そのため、私はゆっくりと口を開いてそんなことを告げた。
そして、そんな言葉を告げてくる。……置いてくれない? それはつまり、ここに滞在したいということだろう。私としては、構わない。しかし、このお屋敷の持ち主はギルバート様。私が勝手に許可できることでは、ない。
「少し待って頂戴。ギルバート様に、確認を取らないと」
私はエリカの涙を指で拭いながら、そう言う。そうしていれば、タイミングよく応接間の扉が開き、ギルバート様がやってこられた。ギルバート様は私とエリカのことを見て、一瞬だけ目を見開かれる。でも、すぐに「シェリル!」と私の名前を呼んでくださる。
「シェリル。なにもされていないか? 傷つけられていないか?」
ギルバート様は私の方に駆けよってこられてそうおっしゃった。なので、私は静かに「なにも、ありませんよ」という。どちらかと言えば、泣かせてしまったのは私の方だ。私は、エリカにこれっぽっちも傷つけられていない。
「……あの、ギルバート様。一つだけ、お願いがあるのです」
そう思いながら、私はゆっくりと口を開いた。今までのエリカの態度から見るに、多分エリカは何かに怯えている。だから、頼りたくもない異母姉の元を訪れた。そう考えるのが、妥当だ。……怯えている対象は、分からないけれど。
「……どうした、シェリル?」
「エリカのことを、しばらくここに滞在させてくれませんか?」
そのため、私はゆっくりと口を開いてそんなことを告げた。