年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第8話 気持ち
「……シェリル。どうして、そこまでしてエリカ嬢を助ける」
私が朝食の席に着くと、ギルバート様は真っ先にそんなことを問いかけてこられた。そのため、私は「……あの子のことを、憎んでいないから、です」と答える。しかし、ギルバート様は納得してくださらない。「あんな奴、助ける価値もないだろう」とおっしゃるだけ。……私は、ギルバート様のことをずっとお優しい方だと思ってきた。だけど、辺境貴族というだけはあり、冷酷な部分も持ち合わせていらっしゃるのだろうな。今更ながらに、それを実感する。
「……俺は、俺たちは。シェリルのことを虐げたエリカ嬢を歓迎することはない。それだけは、理解してくれ」
ギルバート様にそう告げられ、私は静かに頷いた。このお屋敷の人たちは、優しい。私のことを想って、行動してくれる。でも、それは裏を返せば私の敵は自分の敵だとみなしてくれるということ。……たとえ、私がエリカのことを憎んでいなかったとしても。
「……ギルバート様」
朝食が運ばれ、食事を始めた頃。私は、ギルバート様のことをまっすぐに見つめて声をかけた。そうすれば、ギルバート様は「どうした」と優しく問いかけてくださる。もう、エリカのお話は終わりなのだろうな。
「……私、お父様とお義母様のこと、嫌いです」
目を伏せながらそう伝えれば、ギルバート様は「……そうか」と言葉を返してくださった。なので、私は続ける。
「けど、エリカは違う。あの子は、あの親の被害者でもあります」
「……そうだとしても、だな」
「あの子は、私よりも優れていると両親に示さないと、立場がなかったのです」
親は子を選べない。その逆も現実。私だって、生まれることならばもっと温かい家庭に生まれたかった。お母様が早くに亡くなられ、お父様とお義母様に虐げられる生活は、決して楽しいものだとは言えなかった。だから、貧乏でも愛される生活が欲しかった。そう、常々思って来た。
私が朝食の席に着くと、ギルバート様は真っ先にそんなことを問いかけてこられた。そのため、私は「……あの子のことを、憎んでいないから、です」と答える。しかし、ギルバート様は納得してくださらない。「あんな奴、助ける価値もないだろう」とおっしゃるだけ。……私は、ギルバート様のことをずっとお優しい方だと思ってきた。だけど、辺境貴族というだけはあり、冷酷な部分も持ち合わせていらっしゃるのだろうな。今更ながらに、それを実感する。
「……俺は、俺たちは。シェリルのことを虐げたエリカ嬢を歓迎することはない。それだけは、理解してくれ」
ギルバート様にそう告げられ、私は静かに頷いた。このお屋敷の人たちは、優しい。私のことを想って、行動してくれる。でも、それは裏を返せば私の敵は自分の敵だとみなしてくれるということ。……たとえ、私がエリカのことを憎んでいなかったとしても。
「……ギルバート様」
朝食が運ばれ、食事を始めた頃。私は、ギルバート様のことをまっすぐに見つめて声をかけた。そうすれば、ギルバート様は「どうした」と優しく問いかけてくださる。もう、エリカのお話は終わりなのだろうな。
「……私、お父様とお義母様のこと、嫌いです」
目を伏せながらそう伝えれば、ギルバート様は「……そうか」と言葉を返してくださった。なので、私は続ける。
「けど、エリカは違う。あの子は、あの親の被害者でもあります」
「……そうだとしても、だな」
「あの子は、私よりも優れていると両親に示さないと、立場がなかったのです」
親は子を選べない。その逆も現実。私だって、生まれることならばもっと温かい家庭に生まれたかった。お母様が早くに亡くなられ、お父様とお義母様に虐げられる生活は、決して楽しいものだとは言えなかった。だから、貧乏でも愛される生活が欲しかった。そう、常々思って来た。