年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「あのお方、私のことを嫌っているわ。まぁ、当然だけれど。愛する女性を虐げた異母妹なんて、顔も見たくないだろうし」
「……エリカ」
「……私、今ならば思うの。お義姉様と、もっといい関係が築けたんじゃないかって。お義姉様と、仲のいい姉妹になれたんじゃないかって」

 そのエリカの言葉は、私も何度も思ったことだった。だから、私はエリカの手を握る。土に触れた後だったので、少し汚れていた手。それでも、エリカが嫌がることはなかった。

「今からでも、なれると思うわ。……エリカ。私との関係を、修復しましょう」

 エリカの目を見てゆっくりとそう言えば、エリカは「……無理、よ」と言う。その声音は、とても弱々しくて。

「私、お義姉様に酷いことをたくさんしたもの。今更、仲良くできる資格がないの。……それに、私――」
「……どうした、の?」
「――私、もしかしたら死ぬかもしれないの」

 ゆっくりと、噛みしめるように。エリカは、そう告げてきた。それに、私は驚いて目を見開いてしまう。……エリカは、元気そうじゃない。その私の考えは、エリカに伝わったのか、彼女は「……病気とかじゃ、ないわよ」と教えてくれる。

「私、命を狙われているの。だから……死ぬかも、しれないの」

 そう言ったエリカは、何処となく寂しそうな目をしていた。……エリカが、死ぬ。今までは、それに何の感情も抱かなかった。けど、今だったら――……。
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