年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第10話 異母妹との日々(2)
 今だったら、間違いなくこう言える。だから、私はゆっくりと口を開いた。

「エリカ。死んだら、ダメ」

 私は噛みしめるようにエリカにそう告げる。そうすれば、エリカは目を見開いた。多分、私がこんなことを言うとは思わなかったのだろうな。私も、自分の変化に戸惑っているくらいだもの。

「……お義姉様」
「貴女は、私のたった一人の異母妹。私の……大切な、家族」

 たとえ半分しか血が繋がっていなかったとしても。その血が、忌々しいものだったとしても。それでも、エリカは私の大切な異母妹。私は、この子のことを許している。だから、この子のことを絶対に守る。

「……私、貴女のことを守るわ。だから……私と、関係を修復して頂戴」

 エリカのことを強く抱きしめながら、私はそう告げた。そうすると、エリカは「……ごめんなさい」と震える声で言う。

「ごめんなさい、ごめんなさい……! 私、お義姉様に酷いことをたくさんした。ごめんなさい……!」

 その声は、徐々に涙交じりのものに変わっていく。私に大人しく抱きしめられながら、エリカは私に縋っていた。そんなエリカが愛おしくて、私はゆっくりと彼女の背を撫でる。

「私も、貴女の孤独に気が付いてあげられなくて、ごめんなさい」

 エリカの孤独は、きっと私よりも酷かった。私はあの両親に諦めの感情を抱いていたけれど、エリカはずっと愛されようと頑張っていた。そして、認められるために私を虐げていた。浪費をしていたのも、心を満たしたかったからなのだろう。もっと、私が分かって支えてあげるべきだった。あの頃は、そこまで心に余裕がなくて、気が付いてあげられなかった。
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