年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「……シェリル様!」
家庭教師の待つお部屋に向かう途中、クレアに不意に名前を呼ばれる。そのため、私は「どうしたの?」と彼女に問いかけた。そうすれば、クレアは「……マリンは、優しい子です」と言う。
「口では厳しいことっばかり言いますけれど、優しい子です。だから……その、彼女のことも見捨てられなかったのかと」
……クレアの言う「彼女」とは間違いなくエリカのことよね。……そうなの、ね。けど、私もそれくらいは分かっている。マリンが優しいことなんて、ずっと前から知っている。
「分かっているわ。……でも、誰かがエリカの側に居ないといけなかった」
エリカはずっと怯えている。そんな彼女を、一人に出来るわけがない。ならば、マリンを付けるのが最適だと思った。ただ、それだけ。
「……それは、そう、ですが……」
クレアは私の答えを聞いて、微妙な表情を浮かべていた。だからこそ、私は「今日のレッスンは、何かしら?」と問いかける。一応、ダンスレッスンだと覚えている。でも、話をそらすためにそう問いかけた。
「あ……だ、ダンスレッスンです。本日はこの辺境の方でメジャーなダンスを覚えていただきます」
「そう、ありがとう」
ウィリス王国は大きく五つに分けられる。王都と東西南北の辺境。辺境はそれぞれ全く違う雰囲気であり、王都も独立した雰囲気。そういうこともあり、辺境では辺境の文化が発展している。それも、つい最近覚えたことだった。
「……家庭教師の方、シェリル様のことを褒めていらっしゃいましたよ。……すごく、熱心だと」
「……そう言ってもらえると、嬉しい。ありがとう」
「いえ、本当のことですので」
クレアはそんなことを言いながら、私の後ろをついて歩く。もうすぐ、家庭教師の人が待つお部屋にたどり着く。……心の中では、エリカのことを心配している。だけど、家庭教師の人からすればそんなこと知ったことじゃない。だから、悟られたくない。言い訳だって、思われたくない。
家庭教師の待つお部屋に向かう途中、クレアに不意に名前を呼ばれる。そのため、私は「どうしたの?」と彼女に問いかけた。そうすれば、クレアは「……マリンは、優しい子です」と言う。
「口では厳しいことっばかり言いますけれど、優しい子です。だから……その、彼女のことも見捨てられなかったのかと」
……クレアの言う「彼女」とは間違いなくエリカのことよね。……そうなの、ね。けど、私もそれくらいは分かっている。マリンが優しいことなんて、ずっと前から知っている。
「分かっているわ。……でも、誰かがエリカの側に居ないといけなかった」
エリカはずっと怯えている。そんな彼女を、一人に出来るわけがない。ならば、マリンを付けるのが最適だと思った。ただ、それだけ。
「……それは、そう、ですが……」
クレアは私の答えを聞いて、微妙な表情を浮かべていた。だからこそ、私は「今日のレッスンは、何かしら?」と問いかける。一応、ダンスレッスンだと覚えている。でも、話をそらすためにそう問いかけた。
「あ……だ、ダンスレッスンです。本日はこの辺境の方でメジャーなダンスを覚えていただきます」
「そう、ありがとう」
ウィリス王国は大きく五つに分けられる。王都と東西南北の辺境。辺境はそれぞれ全く違う雰囲気であり、王都も独立した雰囲気。そういうこともあり、辺境では辺境の文化が発展している。それも、つい最近覚えたことだった。
「……家庭教師の方、シェリル様のことを褒めていらっしゃいましたよ。……すごく、熱心だと」
「……そう言ってもらえると、嬉しい。ありがとう」
「いえ、本当のことですので」
クレアはそんなことを言いながら、私の後ろをついて歩く。もうすぐ、家庭教師の人が待つお部屋にたどり着く。……心の中では、エリカのことを心配している。だけど、家庭教師の人からすればそんなこと知ったことじゃない。だから、悟られたくない。言い訳だって、思われたくない。