元カレ救命医に娘ともども愛されています
「月子と真優紀は、琴絵さんや浅岡さんと楽しく暮らしていたのに。……トラブルを持ち込み、月子の心を乱し、真優紀に危険を近づけてしまったのは俺なんだ」
自嘲的に言い、和馬は席を立った。窓辺に行き、外を眺めているのはこちらに顔を向けたくないのかもしれない。
「『月子に好かれるように努力する』だなんて、片腹痛いよな。俺はもう、月子と真優紀には害にしかならないのに……」
和馬は私との別れの原因になったすべてを憎んでいたのだろう。そして、今はその根源にいるのが自分だと考えている。自分さえいなくなればと考えている。
それは私が二年前に陥った感情だ。
恋人の父親に否定され、和馬との生活に自信をなくし、いつしか心まで距離ができたように感じた。こんなことになるなら、離れてしまった方がいいと信じるほどに。
「害なんかじゃない。和馬は、私と真優紀にたくさんの気持ちをくれたよ」
私は和馬に歩み寄った。数瞬躊躇い、それからそっとその背に身を寄せた。和馬の肩がぴくんと揺れた。
「和馬と別れたとき、私も同じように思った。私と出会わなければ、和馬には完璧な未来が用意されていたのにって。その強い気持ちが、別れを後押しした。私さえいなくなればいいって思った」
和馬の背に向かってする贖罪。私にも言いたい気持ちがたくさんある。この後悔を和馬に味わわせたくない。
自嘲的に言い、和馬は席を立った。窓辺に行き、外を眺めているのはこちらに顔を向けたくないのかもしれない。
「『月子に好かれるように努力する』だなんて、片腹痛いよな。俺はもう、月子と真優紀には害にしかならないのに……」
和馬は私との別れの原因になったすべてを憎んでいたのだろう。そして、今はその根源にいるのが自分だと考えている。自分さえいなくなればと考えている。
それは私が二年前に陥った感情だ。
恋人の父親に否定され、和馬との生活に自信をなくし、いつしか心まで距離ができたように感じた。こんなことになるなら、離れてしまった方がいいと信じるほどに。
「害なんかじゃない。和馬は、私と真優紀にたくさんの気持ちをくれたよ」
私は和馬に歩み寄った。数瞬躊躇い、それからそっとその背に身を寄せた。和馬の肩がぴくんと揺れた。
「和馬と別れたとき、私も同じように思った。私と出会わなければ、和馬には完璧な未来が用意されていたのにって。その強い気持ちが、別れを後押しした。私さえいなくなればいいって思った」
和馬の背に向かってする贖罪。私にも言いたい気持ちがたくさんある。この後悔を和馬に味わわせたくない。