元カレ救命医に娘ともども愛されています
8.この愛を守るために
私たちが家族になろうと決めたことを、琴絵さんと浅岡さんにはすぐに報告した。ふたりはものすごく喜んでくれた。
「それじゃ、この家にはもう戻ってこないのね」
琴絵さんは三人で暮らした古い家を見渡し、少しだけ寂しそうに微笑んだ。
「ううん、一度こちらに戻ってこようと思うんだ」
私は言い、和馬を見上げて「ね」と微笑む。真優紀を膝にのせ、和馬が口を開いた。
「月子と真優紀を監視していた人間はうちの父ではなく、元縁談相手である可能性が高くなってきました。あちらの家には抗議の連絡をしてありますので、皆さんの生活上不快なことはなくなると思います」
先日、麗亜さんが尋ねてきた件は、和馬の口から峯田家に伝えられた。案の定、あちらの親御さんは何も知らなかったようで、麗亜さんに何もさせないように見張ると約束をしたそうだ。峯田家からすれば、謝罪と慰謝料を持って手打ちにした件を、自分たちで蒸し返してしまったようなもの。
「でも、復縁したなら一緒に住みたいだろう」
浅岡さんに言われ、私は照れ笑いしながら答えた。
「今は私が大きなプロジェクトに時間をとられていて、引っ越しや真優紀の転園の手続きが難しいんです。だから、私の仕事が落ち着く秋以降に同居と結婚に向けて動き出そうかと思っています」