元カレ救命医に娘ともども愛されています
和馬がそっと開けた箱には美しくカットされたダイヤモンドのリング。

「月子、結婚してください」

和馬の真摯な瞳が私をとらえ、真心のこもったプロポーズは私の心を射貫いた。

「……はい。……結婚します」

声が震え、とうとう涙があふれてしまった私を和馬が抱き寄せる。真優紀が「あー」と声をあげ、とベンチから降りて私と和馬の膝によじ登ろうとする。和馬が片手で抱き上げ、私たちの間に挟んだ。

「どうしよう、嬉しい」

泣きながら和馬と真優紀を抱きしめると、和馬が私の背を優しくさすった。大丈夫、ここにいると言わんばかりの優しい抱擁。

「俺も嬉しいよ。ようやく、なんの障害もなくきみと真優紀と幸せになれる。長い間、きみに苦労をかけてごめん」
「ううん。和馬、探し出してくれてありがとう。真優紀を産んだことを許してくれてありがとう。変わらず愛してくれてありがとう」

頬と頬を触れ合わせると和馬の頬も熱く濡れていた。

「幸せになろうね」
「ああ」

真優紀が窮屈そうな声をあげたけれど、私と和馬はしばしそうして感慨深い涙を味わった。



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