元カレ救命医に娘ともども愛されています
秋から年末にかけて、新規プロジェクトが入って私は忙しくなった。
国内特販部の商材は建材で、取引先に大きな仕事が入ればこちらも同じく慌ただしくなる。
私のチーム以外にも複数のチームが絡むため、連絡が滞らないようミーティングが増えた。ミーティングは早朝や終業後が多く、和馬と会えない日々が続く。
ようやく会えたと思ったら、和馬の方に呼び出しが入るということも頻繁だった。高度医療救命センターにはクリスマスも年末年始もないとは知っていたし、年の瀬は救急搬送も増えるそうだ。しかし、和馬と会えないのは寂しく手持無沙汰だった。
やっと時間が合って、ふたりで会えたのは大晦日。街には人が多く、肩を寄せ合って歩く私たちは、束の間ここ最近の多忙さを忘れた。
「今日は夜まで一緒にいられるから」
「うん」
頷きながらも、明日は和馬が早朝から仕事だとわかっているので、早く帰らなければと考えている。元日も救命医は変わらず仕事がある。
「結婚すれば、同じ家に帰って一緒に眠れるのにな。仕事以外の時間は一緒にいられる」
「そうだね」
「早いうちに父と話すから、もう少し待っていてほしい」
「もちろんだよ」
目的地は決めていなかった。葉の落ちた街路樹の下、木枯らしに吹かれつつ歩く。ショップに入って服を見たり、雑貨を眺めたり。一緒に暮らしたら、こんなマグカップを使おう、カーテンはこの色。そんな話をする私たちは、ただひたすらに幸せな恋人同士に見えただろう。
夜は和馬の家で天ぷらを揚げた。私がいないと自炊もろくにしない和馬は、アシスタントとして料理を手伝った。お蕎麦と天ぷら、他にもいくつかのお惣菜。余ったものは和馬の明日以降の食事にしてもらう。
わずかな時間だけれど、ベッドの中でじっくりと愛し合い、二十二時には仕度を整え玄関先で別れた。
「またすぐに時間を作るよ」
「ありがとう、和馬。よいお年を」
国内特販部の商材は建材で、取引先に大きな仕事が入ればこちらも同じく慌ただしくなる。
私のチーム以外にも複数のチームが絡むため、連絡が滞らないようミーティングが増えた。ミーティングは早朝や終業後が多く、和馬と会えない日々が続く。
ようやく会えたと思ったら、和馬の方に呼び出しが入るということも頻繁だった。高度医療救命センターにはクリスマスも年末年始もないとは知っていたし、年の瀬は救急搬送も増えるそうだ。しかし、和馬と会えないのは寂しく手持無沙汰だった。
やっと時間が合って、ふたりで会えたのは大晦日。街には人が多く、肩を寄せ合って歩く私たちは、束の間ここ最近の多忙さを忘れた。
「今日は夜まで一緒にいられるから」
「うん」
頷きながらも、明日は和馬が早朝から仕事だとわかっているので、早く帰らなければと考えている。元日も救命医は変わらず仕事がある。
「結婚すれば、同じ家に帰って一緒に眠れるのにな。仕事以外の時間は一緒にいられる」
「そうだね」
「早いうちに父と話すから、もう少し待っていてほしい」
「もちろんだよ」
目的地は決めていなかった。葉の落ちた街路樹の下、木枯らしに吹かれつつ歩く。ショップに入って服を見たり、雑貨を眺めたり。一緒に暮らしたら、こんなマグカップを使おう、カーテンはこの色。そんな話をする私たちは、ただひたすらに幸せな恋人同士に見えただろう。
夜は和馬の家で天ぷらを揚げた。私がいないと自炊もろくにしない和馬は、アシスタントとして料理を手伝った。お蕎麦と天ぷら、他にもいくつかのお惣菜。余ったものは和馬の明日以降の食事にしてもらう。
わずかな時間だけれど、ベッドの中でじっくりと愛し合い、二十二時には仕度を整え玄関先で別れた。
「またすぐに時間を作るよ」
「ありがとう、和馬。よいお年を」