元カレ救命医に娘ともども愛されています
真優紀はすくすくと成長し、小さな風邪以外に私の心配事はなかった。お宮参りやお食い初めなど家族の行事は琴絵さんと浅岡さんと行った。
真優紀が生後半年で職場復帰を決めたのは、運よく保育園に空きが出たからだった。私立園で少し保育料は高いが、設備や雰囲気が気に入って空き待ちをしていた園だ。

「一歳になるまでは育休を取ったらどう?」

琴絵さんは勧めてくれたけれど、収入の問題もある。貯金を切り崩していくのも限度があるし、現在生活費の多くを担ってくれている琴絵さんに、これ以上負担をかけたくない。
満一歳を超えた年は希望者が多く、保育園に入りづらいと聞く。ゼロ歳児のこの時期に空きができたのはラッキーだったのだ。
それに日々可愛らしさを更新していく真優紀といると、私自身がどんどん離れがたく感じてしまう。真優紀のためにも、自分自身のためにも職場復帰は必要だ。

「いい機会だから、職場に戻るよ。三歳までは時短勤務でいけるから」

真優紀の柔らかな頬にキスをして、私は微笑んだ。ふくふくと肉付きがよくなってきた真優紀は、ずっしりと重く、すこやかな成長に喜びを感じる。
保育園入園は、真優紀にも私にもちょっとした試練だった。
毎朝涙の別れをし、夕方私が急いで迎えに行く。
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