元カレ救命医に娘ともども愛されています
半月もすると、真優紀はすっかり保育園に慣れ、にこにこ笑顔でお見送りをしてくれるようになった。子どもの順応性はとても高いのだと知った。
もちろん、最初のうちは発熱や嘔吐でしょっちゅうお迎え要請がきた。保育園の洗礼らしく、お友達からうつってしまうようだ。復帰を早めたこともあり、職場は理解があった。それでも仕事を途中で抜けるのは申し訳なく、頭を下げつつ保育園に向かって走る日々。
どうしてもいけないときは、琴絵さんが代わりに迎えに行ってくれた。子育ての相棒がいるのは本当に頼もしくありがたいことだ。私がワンオペのシングルマザーにならなかったのは琴絵さんの存在あってのこと。感謝してもし足りない。

「月子先輩、あっという間に復帰しちゃったんですから、無理せずにお仕事してくださいね」

桜田さんを始め、同僚や私のチームのメンバーも気遣ってくれ、適宜仕事を肩代わりしてくれた。先輩男性社員からは「娘のお下がりなんだけど」と可愛いロンパースなどももらった。

私は恵まれている。
ひとりで子育てをしていない実感があり、孤立していないと思える。
こういう環境でいられるシングルマザーはそういないだろう。周囲の人たちに感謝し、いずれこの恩をお返しできるように頑張ろう。

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