元カレ救命医に娘ともども愛されています
「一年半も会っていない。人は変わるよ。今の和馬が何を考えているか、私にはわからない」
「月子、一度和馬くんに会ってきたらどうかな」
琴絵さんは真剣な表情で言った。
「月子は和馬くんの人生の邪魔になりたくなくて、身を引いた。だけど、お腹の赤ちゃんを堕胎もできず、ひっそりと育てることを選んだ。その経緯と気持ちを正直に話してくるの」
「でも……」
「和馬くんの今の状況は置いておいて、彼の気持ちは慮れない? 別れた大好きだった女性が、自分の子どもかもしれない子どもを産んで育てているんだよ。感情の正負は別としても、放っておけないって考えた和馬くんは誠実だと思うけどな」
私は黙ってうつむいた。真優紀が私の顔に手をのばしてくる。顎に爪をたてられ、指をはずすと次は唇を引っ張られた。「真優紀」とたしなめる声を出すと、真優紀はきゃっきゃと笑い声をあげる。
「月子のためでもあるけど、一番は真優紀のため。ごまかさずに、月子がどうしたいか話してきなさい。お互い禍根を残さないように」
「……そうだね。琴絵さんの言う通り」
円城寺家には和馬のお父さんがいる。真優紀の存在が知られたら、どうなるかわからない。その前に和馬としっかり話し、関わらず生きていこうという約束を取り付けておきたい。
「和馬に会ってくる」
「連絡先、消してしまってるんでしょう。どうするの?」
「……病院を訪ねるよ」
真優紀のぽわぽわと薄い髪を撫で、指に絡め、私は頷いた。
真優紀を産んだのは私の我儘だ。和馬には知られずに生きていければ平穏だと思っていた。
私は結果として和馬の人生をかき乱しているのかもしれない。
「はっきりと決別してくる」
「月子、一度和馬くんに会ってきたらどうかな」
琴絵さんは真剣な表情で言った。
「月子は和馬くんの人生の邪魔になりたくなくて、身を引いた。だけど、お腹の赤ちゃんを堕胎もできず、ひっそりと育てることを選んだ。その経緯と気持ちを正直に話してくるの」
「でも……」
「和馬くんの今の状況は置いておいて、彼の気持ちは慮れない? 別れた大好きだった女性が、自分の子どもかもしれない子どもを産んで育てているんだよ。感情の正負は別としても、放っておけないって考えた和馬くんは誠実だと思うけどな」
私は黙ってうつむいた。真優紀が私の顔に手をのばしてくる。顎に爪をたてられ、指をはずすと次は唇を引っ張られた。「真優紀」とたしなめる声を出すと、真優紀はきゃっきゃと笑い声をあげる。
「月子のためでもあるけど、一番は真優紀のため。ごまかさずに、月子がどうしたいか話してきなさい。お互い禍根を残さないように」
「……そうだね。琴絵さんの言う通り」
円城寺家には和馬のお父さんがいる。真優紀の存在が知られたら、どうなるかわからない。その前に和馬としっかり話し、関わらず生きていこうという約束を取り付けておきたい。
「和馬に会ってくる」
「連絡先、消してしまってるんでしょう。どうするの?」
「……病院を訪ねるよ」
真優紀のぽわぽわと薄い髪を撫で、指に絡め、私は頷いた。
真優紀を産んだのは私の我儘だ。和馬には知られずに生きていければ平穏だと思っていた。
私は結果として和馬の人生をかき乱しているのかもしれない。
「はっきりと決別してくる」