元カレ救命医に娘ともども愛されています
4.初対面
「それで、月子は和馬くんと真優紀を会わせるの」
その晩、真優紀を寝かせた後のリビングには琴絵さんと恋人の浅岡さんがいる。昼間の再会の件を報告したところだ。
「よりを戻す気はないよ。でも、真優紀に会いたがってるのを無視できなかった」
どこか言い訳めいた口調になってしまうのは、情が捨てきれなかった後ろめたさがあるからだ。
「そりゃあ、会った方がいいと背中を押したのは私だけど」
琴絵さんは複雑そうな表情で前髪をかき上げた。
「禍根を残さないため、……それは月子と真優紀が今後ふたりで生きていくためにって意味だった」
「琴絵さんの言う意味、わかってるよ。自分でも繋がりを残すべきじゃなかったって後悔してる」
「嫌いで別れた人じゃないし、会えばほだされちゃうわよね。でも……」
「まあまあ、琴絵。月子ちゃんだって悩んで出した結論だろう」
浅岡さんが仲裁するように口を挟んできた。ひげ面で熊のような体躯の浅岡さんは我が家の食卓で背を丸め、一緒にお茶を飲んでいる。
私が和馬に会ってきたのを知り、心配して夜にやってきてくれた。
「娘に会いたがっているところを見たら、誰だって揺れるよ。彼がまだ結婚していないなら、月子ちゃんや真優紀ちゃんと会うのも変な話じゃないだろう」
「でもね、創(そう)、そこも問題だと思うのよ」
琴絵さんが浅岡さんの名前を読んで言う。