元カレ救命医に娘ともども愛されています
「和馬くんは月子とやり直したいと言ってるんでしょう。真優紀と三人で親子になりたいって」

私は頷いてから、琴絵さんと浅岡さんを見た。

「復縁はあり得ないって伝えてある」
「諦めるとは思えないけど」
「和馬くんという元カレにまだ気持ちがあるなら、決めるのは月子ちゃんじゃないかな」

浅岡さんが琴絵さんをなだめ、私を見た。

「本当に復縁は考えられないのかい? 俺は、こうして家族に混ぜてもらえるのは嬉しいし、この家の男手を担えるのは光栄だよ。でも、真優紀ちゃんのお父さんが現れて、ふたりを幸せにしてくれるならそれはいいことなんじゃないかとも思うんだ」
「浅岡さん……、でも和馬と別れた理由は色々あったので。同じことを繰り返したくないし、今度は真優紀も巻き込む形になるのが怖いんです」

和馬と私がすれ違った理由は、お互いの多忙さや彼の父親の存在が大きい。だけど、和馬を幸せにできるかわからないと不安になったのは私で、彼の父親に和馬の仕事を妨害すると脅され、強く出られなかったのも私なのだ。私以外の完璧な女性が和馬を幸せにしてくれるなら、それが一番いいと感じてしまった。

「真優紀を授かったとき、ひとりで責任を持つと決めました。琴絵さんも浅岡さんも手伝ってくれて、職場も理解があって助かっています。だから、このままでいい。和馬と寄りを戻して、波風を立てたくない。成長の過程で真優紀に嫌な思いをさせたくない」
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