元カレ救命医に娘ともども愛されています
それに、和馬が結婚していない以上、彼の父親は真優紀の存在を知れば放っておかないだろう。和馬もお兄さんも言うことを聞かないなら、真優紀を手元で育てて後継者にしようと考える可能性もあるのだ。考え過ぎではないと思う。あの父親ならやりかねない。

「和馬に真優紀を会わせて、それで終わりにします」
「そうか。琴絵も俺も、月子ちゃんの意志を尊重できるようにするから」

浅岡さんは言い、琴絵さんは眉をひそめ黙っていた。琴絵さんは心配しているだけ。私や真優紀が傷つくようなことにならないようにと願っているだけ。

「ふたりには心配かけてごめんなさい」
「いいんだよ。気にしなくて」

ふたりの気持ちはありがたく、同時に申し訳ない気持ちになる。
寝室から真優紀の泣き声が聞こえ、私は立ち上がった。
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