元カレ救命医に娘ともども愛されています
「いい家柄の女性でしょう。ご実家の病院のため、あなたの幸せのために、その人と結婚した方がいいとは思えないの?」
和馬はふっと寂しげに笑った。
「月子以外誰とも幸せにはなれないって言っているのに、冷たいな」
「ええ、そう。私は冷たいんだ。過去の男性を振り返っているほど暇じゃない」
冷たい口調で目をそらして言う。真正面から、嘘をつけるほど器用じゃない。
「真優紀が俺の子でも、月子には過去の存在か。……そんな月子にまた会いたいなんて俺がおかしいのかな」
「真優紀にはあなたの記憶を残したくないの。もう会わない方がいいよ」
「俺に気持ちがないのはわかった。せめて真優紀が俺に慣れて笑顔が見えるくらいまでは……会えないか……?」
「あなた都合じゃない。勝手なことを言わないで」
そう言いながら、実の娘の怯えた顔しか知らないのでは和馬も可哀想だと気持ちが揺れる。いや、私たちのことは忘れてと願っているのだから、唯一の思い出が真優紀の泣き顔だって問題はないはずで……。
私は迷って嘆息をした。私の選択を、琴絵さんはきっと心配するだろう。
「あなたのお父さんに真優紀と私の存在を知られたくないの。……それを配慮してくれるなら、あと何度かは……」
「本当に? ありがとう、月子。父とは今はほとんど連絡を取り合っていないし、詮索されないようにするよ」
「真優紀が二歳になる前に、面会は終わりにしたい。それでいい?」
そう言って私は立ち上がった。振り向かずに、真優紀をベビーカーに座らせる。シートベルトを嫌がって声をあげる真優紀におもちゃを渡して、どうにか準備ができあがった。
「ありがとう。この一年間を大事にするよ」
和馬はそう言って笑っていたけれど、どうにも寂しそうに見えるのは私の気持ちが揺れ続けているからだろうか。
和馬はふっと寂しげに笑った。
「月子以外誰とも幸せにはなれないって言っているのに、冷たいな」
「ええ、そう。私は冷たいんだ。過去の男性を振り返っているほど暇じゃない」
冷たい口調で目をそらして言う。真正面から、嘘をつけるほど器用じゃない。
「真優紀が俺の子でも、月子には過去の存在か。……そんな月子にまた会いたいなんて俺がおかしいのかな」
「真優紀にはあなたの記憶を残したくないの。もう会わない方がいいよ」
「俺に気持ちがないのはわかった。せめて真優紀が俺に慣れて笑顔が見えるくらいまでは……会えないか……?」
「あなた都合じゃない。勝手なことを言わないで」
そう言いながら、実の娘の怯えた顔しか知らないのでは和馬も可哀想だと気持ちが揺れる。いや、私たちのことは忘れてと願っているのだから、唯一の思い出が真優紀の泣き顔だって問題はないはずで……。
私は迷って嘆息をした。私の選択を、琴絵さんはきっと心配するだろう。
「あなたのお父さんに真優紀と私の存在を知られたくないの。……それを配慮してくれるなら、あと何度かは……」
「本当に? ありがとう、月子。父とは今はほとんど連絡を取り合っていないし、詮索されないようにするよ」
「真優紀が二歳になる前に、面会は終わりにしたい。それでいい?」
そう言って私は立ち上がった。振り向かずに、真優紀をベビーカーに座らせる。シートベルトを嫌がって声をあげる真優紀におもちゃを渡して、どうにか準備ができあがった。
「ありがとう。この一年間を大事にするよ」
和馬はそう言って笑っていたけれど、どうにも寂しそうに見えるのは私の気持ちが揺れ続けているからだろうか。