元カレ救命医に娘ともども愛されています
帰宅するとぐったりと疲れていた。琴絵さんが真優紀を迎えに行き、夕飯も作っていてくれた。
「おかえり。話し合い、できた」
「うん……」
真優紀を抱き上げ、頷く。夕食前に琴絵さんに今日のことを報告した。
和馬が結婚をあらためて断ってきたこと、私にプロポーズしてきたこと。
琴絵さんはじっと聞いていた。
「……それで月子はどうしたいの?」
「和馬とは終わってる」
「そう言うならどうしてそんなに苦しそうな顔をするの」
私は眉をひそめ、うつむいた。
「和馬への気持ちは、たぶん全然消えていない。離れてもきっとずっと好きだった」
「うん」
琴絵さんが頷く。琴絵さんも私の本音は察していたに違いない。
「命への責任だけで月子が真優紀を産んだとは思っていないよ。彼の願いをかわし切れなくて会っているのも、月子の気持ちだよね」
「だけど、復縁すればきっと私はまた悩んで苦しむ。彼のお父さんからの圧ももちろんあるけれど、私自身が和馬を支えていけるかわからないよ。救命医だよ。そしていいずれは大病院を継ぐ立場なんだよ。仕事と真優紀のことで精一杯の私が、和馬を支えられない」
「それは『支えなければいけない』もの?」
琴絵さんが真顔で尋ねた。
「私と恋人の創はパートナーだし、一生添い遂げるつもりだけど、お互いの領分には踏み込まないよ。つらいときは頼るし、向こうにも頼ってほしい。だけど、全面的にサポートするのが妻の仕事? 現代的じゃないんじゃないかなあ」
「でも、その方が和馬はきっとラクで……」
「その考え方、それこそ和馬くんの父親に植え付けられた観念が肥大化してない?」
私は顔をあげた。
「おかえり。話し合い、できた」
「うん……」
真優紀を抱き上げ、頷く。夕食前に琴絵さんに今日のことを報告した。
和馬が結婚をあらためて断ってきたこと、私にプロポーズしてきたこと。
琴絵さんはじっと聞いていた。
「……それで月子はどうしたいの?」
「和馬とは終わってる」
「そう言うならどうしてそんなに苦しそうな顔をするの」
私は眉をひそめ、うつむいた。
「和馬への気持ちは、たぶん全然消えていない。離れてもきっとずっと好きだった」
「うん」
琴絵さんが頷く。琴絵さんも私の本音は察していたに違いない。
「命への責任だけで月子が真優紀を産んだとは思っていないよ。彼の願いをかわし切れなくて会っているのも、月子の気持ちだよね」
「だけど、復縁すればきっと私はまた悩んで苦しむ。彼のお父さんからの圧ももちろんあるけれど、私自身が和馬を支えていけるかわからないよ。救命医だよ。そしていいずれは大病院を継ぐ立場なんだよ。仕事と真優紀のことで精一杯の私が、和馬を支えられない」
「それは『支えなければいけない』もの?」
琴絵さんが真顔で尋ねた。
「私と恋人の創はパートナーだし、一生添い遂げるつもりだけど、お互いの領分には踏み込まないよ。つらいときは頼るし、向こうにも頼ってほしい。だけど、全面的にサポートするのが妻の仕事? 現代的じゃないんじゃないかなあ」
「でも、その方が和馬はきっとラクで……」
「その考え方、それこそ和馬くんの父親に植え付けられた観念が肥大化してない?」
私は顔をあげた。