元カレ救命医に娘ともども愛されています
「だって! 私も和馬もお互い仕事仕事ってやってたら、家事なんかめちゃくちゃだし、和馬は頑張ろうって努力してしまう人だから、きっと負担になって……。そういうのが嫌だったの」

和馬はわずかに目を見開き、それから苦笑するように目を細めた。

「ごめん。あの頃も今も、俺が生活能力なさそうなのが、月子の不安感のひとつになってたね。さらに真優紀がいる今、一緒に暮らしても家のことも育児も関われない男だって月子が判断してもおかしくない。それで傍にいてれくるだけでいいなんて、どの面下げてって感じだよな」
「和馬には……全部サポートしてくれるお嫁さんが相応しいよ。私と真優紀が和馬の生活に加わったら、きっと和馬は頑張り過ぎて具合が悪くなっちゃうか、自分の道を曲げてしまうよ」

本音といえる部分をほとんど口にしてしまった。拒絶の言葉だけでは和馬には響かない。
むしろ、今こそきちんと話し合うときなのだと思った。

「月子、俺、今まあまあこの家に来ている気がするんだけど」
「え、ええ。よく来てくれるなって思ってる。今日だって疲れてるでしょう」
「俺は、月子と真優紀に会えるなら自分の時間全部使っても惜しくない。月子と同じくらい育児に関われるかはわからないけれど、努力するのは全然嫌じゃないんだ。最初、真優紀が俺を怖がっていたときの方が寂しかったよ。月子が、俺との生活を不安に思っているなら、そこを払拭できるようにまずは努力してみる」
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