元カレ救命医に娘ともども愛されています
これらのことについて、あらためて我が家に集まって相談をした。琴絵さんと浅岡さんも同席してくれている。

「監視は父の仕業だとは思う。最近、本人はこちらに直接関わってきていないようだけれど、やはり真優紀の動向が気になるんだろう」
「真優紀を後継者として迎えたいと思ってるのかな」
「俺が言うことを聞かないなら、血の繋がった真優紀を……と考える可能性は確かにある。監視のようなことはやめてくれと連絡したが、無視されているよ」

和馬が沈痛な面持ちで言う。責任を感じた顔だ。

「何もしてこないとはいえ、みんな不安だよな。月子ちゃんも忙しい時期だし、当面は俺が保育園まで車で送り迎えしようか」

浅岡さんが提案してくれるが、私は首を左右に振った。

「申し訳ないです。浅岡さんも仕事があるんですから」
「俺は大丈夫だよ。ただ、和馬くんはやっぱり自分が守りたいかな」

浅岡さんが和馬の顔を見つめ、和馬は頷いた。

「月子と真優紀、琴絵さんに不安な想いをさせて申し訳ないです。だから、俺にできる方法でみんなを守りたいです」

そう言って顔をあげた和馬は、思い切った様子で私に切り出した。

「月子、一時的にうちで同居をしないか?」

突然の提案に、私は驚いて言葉をなくしてしまった。それは和馬の赤坂のマンションに三人で住むということ?

「……無理だよ」

私は数呼吸分、言葉を探して、ようやく言った。
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