寵愛の姫 Ⅳ  【完結】



「………気安く、私をお母さんなんて呼ばないでちょうだい。」

「っっ、」



憤怒の表情を浮かべ、眉を吊り上げたお母さんに、びくりと莉茉の肩が跳ねる。



「………っ、ご、めんなさい。」

「………………はぁ、本当、あんたなんか生まなければ良かったわ。」

「っっ、」



冷たく吐き捨てお母さんに、莉茉の顔がぐしゃりと悲痛に歪んだ。








………………幼い彼女の心に、何度、爪痕を残した事だろう。



「私の子供は、茉莉ちゃんだけよ。」



お母さんは、にっこりと私に微笑んだ。








ーーーー偽りの笑顔で。
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