寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


「っっ、」



その瞬間。





莉茉の目から、ぽろりと涙が零れ落ちた。



「………………っ、莉茉…。」



それを見て、私の胸がずきりと痛むけど。






悲痛に歪む莉茉から、目を逸らす。









分かっていたの。





全ては、私のせいなんだって事は。










そう分かっていても、あの日の真実を、莉茉に話す気にはなれなかった。









だって。




………………それを莉茉がお母さんに言ってしまったら?
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