寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「ねぇ、茉莉ちゃん?」
「何、お母さん?」
お母さんの前では、いつも怯えてて。
毎日が、辛かった。
「あんな子と、茉莉ちゃんは仲良くしちゃ駄目よ?」
「………、はい、お母さん。」
“あんな子”
名前ですら、呼ばれなくなった莉茉。
それは、呪詛のように、私の中の何かを真っ黒く変えていく。
一体、誰が悪かったのか。
私?
お母さん?
それとも、お父さんなの?
何度も、自問自答を繰り返す。