寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「あんな子、いらない。」
聞かされ続ける日々の内に、私の中の恐怖心が膨れ上がっていく。
………………私も、いつかお母さんにとって、不必要な存在になるのだろうか?
不倫の果てに出来た子供。
私達、家族は、脆い。
少しの亀裂で、この日常も砕け散るだろう。
嘘で塗り固まれた、冷えきった家族。
なんて、もの悲しいんだろうか。
「私の娘は、茉莉ちゃんだけよ?」
ねぇ、お母さん。
ーーーーそれは、本当に本心ですか?