寵愛の姫 Ⅳ


「………………っ、死んだ、の…?」



茉莉に刺されたのを、覚えてる。










苦しくて。



悲しくなったの。








焼き付くような、衝撃と痛みの後に、暁の声を確かに聞いたはずなのに。








ーーーーーでも。



「………………暁、いないの?」



何度、見渡してみても、暁がいない。








あの温もりも。





暁の香りも全部、こんなに覚えているのに。
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