寵愛の姫 Ⅳ

覚醒ー暁sideー



「………………莉茉…。」



目覚めない莉茉の手を握る。






刺された、あの日から一週間。







依然、莉茉の瞳は閉じられたまま、規則的に呼吸を繰り返すだけ。









話す事も。



あの笑顔さえ、ない現実。









俺をその瞳に映し出す事さえもなく、ずっと、莉茉は深い眠りに付いている。







ーーーーー穏やかな顔のまま。



「早く、目を覚ませ。」



さらりと、俺は手触りの良い莉茉の髪の毛を撫でた。
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