寵愛の姫 Ⅳ


「………、っっ、莉茉?」



はっと、目を見張った。








今、莉茉の瞼が一瞬だけ動いたような…。







俺の気のせいか?



「………………んっ。」



じっと見つめ続ければ、うっすらと莉茉の目が開く。



「っ、莉茉っ?」



宙をさ迷う、莉茉の視線。











ぼんやりとしていた、その焦点が、俺に合わさる。



「………あ、きら…?」

「っっ、」



掠れた莉茉の声に、不覚にも、俺は泣きそうになった。
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