寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


「………、そっか、一週間も寝ていたんだ。」

「あぁ、莉茉、寝過ぎだぞ?」



ふっと笑った俺は、莉茉の前髪を横に払う。










初めて味わった。




誰かを失うかもしれない、この恐怖心。









今までの俺には、怖いものなど何一つなかったのに。



「お前は、俺を殺す気か?」



身を切られるような痛みを、痛切に味わったんだ。



「………………暁、ごめん。」



莉茉が眉を下げる。
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