寵愛の姫 Ⅳ
「ん、どうした?」
「………何でもない。」
暁に視線を向ければ、柔らかく微笑まれるだけ。
先生は一体、何をあんなに気にしていたんだろうか?
この病室内には、私と暁しかいなかったのに。
釈然としない。
「莉茉、何か欲しいものでもあるか?」
「あ、ううん、大丈夫。」
問いに、首を横に振って答える。
診察中も、ずっと付き添っていてくれた暁。
少し 窶れた気がする。
申し訳なさと。
そこまで暁に思われている事を実感が出来て、嬉しさが込み上げた。