寵愛の姫 Ⅳ
「………、暁。」
手を暁へと差し伸べれば、そっと握り締められる。
「ん、どうした?」
「………心配を掛けて、ごめんなさい。」
今回の事は、私の不注意が招いた。
分かっていたのに。
茉莉の中の、“闇”を。
私が誰よりも、彼女の近い存在だったのだから。
その“闇”がいまだに何かは分からないけれど、漠然と理解していた事から目を逸らし、それを見ようとしないで蓋をした。
「莉茉が悪い訳じゃないだろ?」
「………でも…。」
「ふっ、お前が謝る必要はねぇよ。」
柔らかく微笑む暁は、どこまでも私を甘やかす。
ーーーーーそれでも。
「暁、ちゃんと寝れてた?」
少し痩せたような暁に、私の胸が痛んだ。