寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「私は、暁が倒れないか心配だよ。」
何よりも、私を優先させる暁だから、心配になる。
こんな事になるなら、引き止めようとしてくれたあの時、側から離れなければ良かった。
「っっ、」
ぐっと、唇を噛み締める。
そうしていれば、ここまで誰も傷付かなくて済んだはずなのに…。
後悔ばかりが、私の胸に巣くう。
「………莉茉、唇を噛むな。」
私の唇に這う、暁の手。
優しくて。
労るような、その手は。
ーーーーーとても、温かかった。