寵愛の姫 Ⅳ  【完結】

「………………、ねぇ、暁?」

「うん?」

「………あの、茉莉は?」

「っっ、」


はっと、暁が息を飲む。










茉莉の名前に、部屋の空気が凍った気がした。







少しの沈黙が、痛い。



「ねぇ、あの子は、どうなったの?」

「………。」

「お願い、教えて?」



知りたいの。






どんなに、苦しい事でも。










受け止めたい。




たった1人の、私の妹の事を。







もう、目を逸らさない。



「私は、知りたい。」

「………莉茉…。」

「暁、茉莉の事を、私は知りたいの。」



(すが)るように真っ直ぐ見上げれば、暁が小さく溜め息を吐いた。
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