寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「良いか、莉茉?」
「う、ん?」
「妹は弱かったんだ。」
「………茉莉が?」
あの、凛とした茉莉が?
羨ましい程に、誰からも愛された、私の片割れ。
………………それが、偽りだったと言うのですか?
「あぁ、だからこそ、あの妹はお前を憎む事でしか正気を保てなかったんだろうな。」
「………うん。」
何となく、分かる。
自分は、悪くないと。
耳と目を塞いで、全てを誰かのせいにして、憎んでいれば楽だった。
私が、大切な妹を悪者に仕立てあげたように。
きっと。
………………莉茉も、そうだったのんだね?