寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


思い浮かぶのは、暁に出会う前の、ちっぽけだった頃の小さな自分。








何も出来ず、ただ、嘆いてた。










自分は、悪くないと、茉莉を悪者にして。








現実に、蓋をした。








ねぇ、それは弱さでしょう?




そっと、目を開けた先。



「真実を知る事が出来るなら、目を逸らして逃げないで、立ち向かうのが、本当の強さでしょう?」



暗闇で(うずくま)っていた、小さい頃の私が顔を上げ、微笑んだ。




「私は、そう思うから。」



後悔するのかも知れない。






自分で、真実に手を伸ばした事を。











胸が潰れる程の、痛みを受けるかも知れない。










でもね?



「それでも、私は知りたいの。」



それも、覚悟の上だ。









強くなりたい。






暁の隣に相応しく、凛とした人間でありたいから。
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