寵愛の姫 Ⅳ
物語ー暁sideー
「恐らく、妹がお前に執着した理由はーーーー。」
俺の口から語る物語。
それが莉茉を少しでも悲しませ、苦しませるような事実ならば。
事実に蓋をして、俺は全てを覆い隠し、何も語る事はなかっただろう。
この胸の内に仕舞って。
だが、それが出来なかったのは。
『真実を知る事が出来るなら、目を逸らして逃げないで、立ち向かうのが、本当の強さでしょう?』
揺るぎない眼差しを、莉茉が俺へと向けたから。
目を逸らす事も。
嘘も、誤魔化しさえ。
きっと、逃げる事も許されない。
強い、真っ直ぐな眼差しを。