寵愛の姫 Ⅳ


「………………っっ、その事を、茉莉は知ってたの?」



歪む、莉茉の顔。






その声も、震えていた。



「………莉茉…。」



当たり前だ。






俺が語った真実は、家族を欲していた莉茉にとって、それほどまでに。







あまりにも残酷過ぎる事実なのだから。



「あぁ、多分、お前達が幼い頃にな。」

「っっ、」



妹を思い、莉茉が泣いた。









惜しみ無く。





その心に、俺ではなく、妹だけを思い浮かべて。
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