寵愛の姫 Ⅳ


………………チッ。







本当に、忌々しい女だ。








簡単に、莉茉の感心を集めるんだからな。



「………、だから、茉莉は私を憎んでいたの?」

「………莉茉…。」



震える莉茉の身体を、抱き締める。











悲しいと。




切ないのだと、小さく華奢な、その莉茉の背中が悲痛に泣いていた。



「莉茉、言っただろ?」

「………うん?」

「妹が、弱かったんだって。」



莉茉は、悪くない。





何一つ。








真実を知って、勝手に壊れたのは、妹だ。







莉茉と分かり合える事だって出来たはずなのに、それをしなかった、あの女が悪い。
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