寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「っ、わ、たし…。」
俺を見上げる莉茉の目に、怯えの色が宿る。
それ、が不快で。
俺の心を、苛立たせる。
「………莉茉。」
「っっ、」
低い俺の声に、莉茉の肩が跳ねた。
「俺を疑うのか?」
俺の思いを。
ひたりと、莉茉を見据える。
逃がさないように。
「なぁ、莉茉、そうなのか?」
「っっ、違っ…。」
必死に否定する莉茉の目から、止めどなく涙が散る。
「あ、きら…。」
「ん?」
「っっ、怖いっ…。」
ぽつりと、泣きながら莉茉が呟いた。