寵愛の姫 Ⅳ  【完結】

「っ、わ、たし…。」



俺を見上げる莉茉の目に、怯えの色が宿る。









それ、が不快で。







俺の心を、苛立たせる。



「………莉茉。」

「っっ、」



低い俺の声に、莉茉の肩が跳ねた。



「俺を疑うのか?」



俺の思いを。










ひたりと、莉茉を見据える。






逃がさないように。



「なぁ、莉茉、そうなのか?」

「っっ、違っ…。」



必死に否定する莉茉の目から、止めどなく涙が散る。



「あ、きら…。」

「ん?」

「っっ、怖いっ…。」



ぽつりと、泣きながら莉茉が呟いた。
< 161 / 422 >

この作品をシェア

pagetop