寵愛の姫 Ⅳ


「ふっ、莉茉?」

「………うん?」

「布団にちゃんと寝なきゃ、意味がないだろ?」



まったく。





これじゃあ、ちゃんと疲れた身体が、全く休まらないだろうが。



「………………、良い、の。」

「ん?」

「………ここが、一番に安心して休める場所だから…。」



段々、小さくなる莉茉の声。



「莉茉?」

「………。」



顔を覗き込めば、安心しきった表情で、すやすやと眠る莉茉がいて。



「ふっ、」



そんな莉茉に、笑みを浮かべ、頬に口付ける。







なぁ、俺はお前の安心していられる居場所になっているか?






そうであるなら、こんなに嬉しい事はない。
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