寵愛の姫 Ⅳ
「っっ、な、んて、茉莉っ…。」
「ふふ、さぁ?」
莉茉の問いには答えず、いつも理由をはぐらかす。
快感だった。
悲痛に歪む莉茉の顔も。
絶望に染まった瞳さえ。
………………私を、安心させる。
「だって、そうでしょう?」
ーーーーー莉茉は、私よりも不幸でいてくれなくちゃ駄目なの。
悲痛と、絶望に染まるその顔を見る度に、何度も繰り返し安堵する。
あぁ、
私は、“まだ”大丈夫。
平気なんだって。
莉茉より私は全然、不幸なんかじゃないんだって、実感が出来たの。
それは、歪んだ安心感だった。